臓器売買事件

臓器移植に絡む臓器売買の犯罪で医師と関係する暴力団員が逮捕されたという事件があった。ある意味で起こるべくして起こってしまったとも言える。

臓器移植を希望する患者さんたちの数に比べ、臓器移植提供数が圧倒的に少ないというのが根本的問題であり、それが解決されなければこのような忌まわしい事件は今後も起きてしまうだろう。どうしてこういうことになってしまたのか、それは国がとってきた政策に問題がある。

1985年に脳死と臓器移植に関する法律が作られたが、個人的にはこれは歴史上悪法と言える。つまり、当時世界のどの国をみても脳死臓器提供は脳死者本人の意思あるいは遺族の同意があれば認められていた。しかし日本だけは本人の意思のみ、しかも書面で表記されている場合に限るというものであった。ドナーカードを普及させようとするぐらいでは、移植推進のために一生懸命努力しても進むわけがない。

当時多くの国民にとって現実に脳死という考え方が理解できなかったのも事実であるが、脳死を人の死と認めず臓器移植に反対する、いわゆる知識人たちが言いたい放題に脳死移植反対を唱えていたのも、推進を阻んだ大きな理由のひとつでもある。たとえば哲学者の梅原猛あるいはライターの立花隆や作家の五木寛之などが上げられる。

その後2010年にやっと遺族でも提供意思表明による移植を認める改正法が施行されるに至ったが、当然予想されたごとくその間脳死移植は100例にも至らず、これはアメリカ国内で行われる脳死移植が一晩で数十例という事実と比べれば驚きの差という他はない。その反対に日本では、たとえば親からわが子へといった家族内で行う生体移植の比率は90パーセント以上と多く、諸外国とは正反対である。隣の子供が病気になってもあまり感知せず、わが子のことになると狂ったように一生懸命になるという国民性だと非難されても仕方がないだろう。

私はかなり昔から、脳死は人の死であり当然脳死臓器移植に賛成をしてきた。たとえ心臓が動いていても脳の細胞に血液が巡らず、いずれ脳がどろどろになって腐ってしまい、なにも考えることが出来ない状態など死のほかに何があろう。

私自身の意思はと言えば、平成9年ドナーカードを取り寄せ署名して、以来ずっと財布に入れて持ち歩いている。そのためカードは縁がぼろぼろになってしまっているくらいだ(写真)。

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