ネットワークオーディオの便利さは、音楽をファイルとして保存しておきプレーヤーで聴く、これらに必要な操作がiPadなどでコントロールできるため、たとえばCDをプレーヤーに入れるとかという操作が不要となる点である。したがって椅子に座ったままiPadで好きな曲を選びゆっくり聴くことができる。しかしそのためにはネットワークを構築する必要がある。
必要なものは音楽ファイルのプレーヤーたとえばLinnのDS(digital streaming)など、ファイルを保存しておくNAS(ハードディスク)、そしてiPadやiPhoneなどのコントローラー、これらをルーターで無線あるいはケーブルで図に示すように構築する。
NASは音楽サイトなどからダウンロードしたファイル(wavやflacなどの可逆圧縮ソフトで高音質のものが良い)やCDをリッピングしたファイルなどを保存しておくもので、ルーターとは有線で繋ぎ、なるべく音が静かなものが良い。ネットワークオーディオのさきがけとして開発してきたイギリスのLinnはQNAPを推奨しているが、うちでは2TBの QNAP TurboNAS TS-119P+を使用している。
コントローラーとしてパソコンを使用しても勿論良いわけだが、手軽さなどの点からiPadが理想である。ソフトもいろいろあるが、つい先日iPad用のKinskyという無料ソフトがダウンロードできるようになったため早速使ってみた。
24ビット192kHzの音はさすがにすばらしいが、16ビット44.1kHzのCDリッピングしたものでもDSで聴くと音が良くなるから不思議である。しかしアナログレコードをLinnLP12で聴くのが最高だと思っている私としては、DSが良いといってもそれはアナログの音にますます近づいているに過ぎないのだと考えている。
写真はうちのシステムであるが、DSはLinn Akurate DS(旧タイプ)、プレアンプはマッキントッシュ(近々LinnのAkurate Kontrol /Kが届く予定)、パワーアンプはここではマッキンではなくHalcro(4オーム400ワット)を使い、コンデンサスピーカーであるQUAD ESL2805 を鳴らしてみた。このHALCRO MC20は日本ではあまり知られていないが、D級アンプでありながら低音の伸びはよく消費電力も少ないそうだ。そしてQUADのスピーカーと合っているという情報をネットで知ったので、中古展示品を安価で購入したものである。
LPレコードをジャケットからおもむろに取り出し、ブラシで掃いてターンテーブルに静かに載せ、パチパチ音をむしろ快感と感じながら聴くアナログの世界は至福の時であるが、なにせ年を取るとあまり体を動かさずにできるネットワークオーディオも、実にありがたいもので手放せなくなってしまう。