今日は秋分の日なのに

今日は秋分の日だった。私は今朝8時ごろ東海環状高速道路を車で走っていた時だった。
岐阜県から愛知県の県境のトンネルに入る頃から急に雨が降り出した。
そしてトンネルを抜けたとき、あたりはまるで別世界かと思えるくらいの天候となっていた。
突然の激しい雨と稲妻の襲来に見舞われたのだ。
それにトンネルを出たのかどうかわからないくらいの辺りの暗さ、いやむしろ照明があるトンネルの中のほうが明るかったくらいだった。
前を走っていた車もいっせいに減速しはじめた。
私も時速60から80キロぐらいに落とし、ハンドルを抱くような格好で、激しく動くワイパーの先を、おそらく瞬きもする余裕もないくらい緊張して運転をしなければならなかった。
時折辺りを閃光が襲う。間を入れずの雷鳴。大粒の雨が車体に激しくぶつかる音を耳にしながら、感覚がまったく麻痺してしまうのではないかと思うほどであった。
そのうち路肩のスペースに停車してしまう車もいたが、さすがにそれはかえって危険だと察したのでなんとか前の車との車間距離を保ちながら、必死で運転を続けた。
するとそのうち車の天井がパンパンと音を立て始めた。
最初は大粒の雨が車に落ちて当たる音だと思った。
しかしだんだんそれが一層大きな音になり、時にはバリバリバリとまるで車が機関銃で撃たれているかと勘違いするくらいの音になっていた。
これは雨ではない、もちろん車にカミナが落ちたわけでもないはずだ。もしそうなら車も焦げてしまうはずだからそうではない。なんだこれは…。
すると車の前の高速道路の路面に飛び跳ねる小さいモノが見えた。雨にしては大きいし、なんだか角張っている。
そう、それは雹(ひょう)だったのだ。
たしか子供の頃一度雹を経験したことはある。しかし車に乗っていて雹に見舞われるのははじめてだ。
きっと私の車はべこべこになってしまったにちがいない、そんな心配までしてしまった。
しかしもう少し行けば次のトンネルがあるはずだ。トンネルに入れば救われる。
やがてトンネルに入ると、一変してそこは平穏な別世界だった。
そもそも特に長いトンネルの運転はあまり好きではないのだが、そのときだけはトンネルの存在がありがたく感じられた。
 
トンネルを抜けると雨こそ降ってはいたが、カミナリと雹はなくなっていた。
私はいくらか疲れてしまったので高速道路のパーキングで少しの間休むことにした。
西のほうの空はやや明るかったが、私がむかう名古屋の町の上にはまだ黒い雲が覆っていた。
そしてその雲の下には薄黒い筋が垂れ下がっていた。それは雨が激しく降っている証拠だった。
そして時々稲妻が光るのも見られた。雷鳴もやや遅れて聞こえてきた。
 
祭日だというのに悪夢のような経験だった。それはきっと2,3分のそれほど長くない時間だったにちがいない。
しかし、そのときは2、3十分の長い時間に感じられた。
家に帰ると夕方のニいュースでは、日本のあちこちで雨や風、カミナリの被害が報道されていた。
しかし、雹のニュースはなかった。
庭から夜空を見上げたら、一日遅れの仲秋の名月が輝いていた。
 
(写真は名古屋の町の上を覆う黒い雲とその下に見える雨のすじ)

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